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NO. 00188085 DATE 2024 04 26

ストロガッツ非線形ダイナミクスとカオス の読書会ページ

ストロガッツ非線形ダイナミクスとカオス(9784621085806)

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ストロガッツ非線形ダイナミクスとカオス

著者:スティーヴン・H.ストロガッツ/田中久陽

出版社:丸善出版 (2015年01月30日頃)

ISBN-10:4621085808

ISBN-13:9784621085806

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P.320の問題番号「8.5.3」への解答

ロジスティック方程式$\dot{N}=rN(1-N/K(t))$ ($K(t)$は正で、tについて滑らかで$T$周期的)
(a) 曲線$N(t)=K(t)$を考える。このとき、$N(t)$の変化はこの曲線より上側では$\dot{N}<0$となり下向き、この曲線より下側では$\dot{N}>0$となり上向きとなる。特に、任意の$N>0$から始まる$N(t)$の値はやがて$K_{\mathrm{min}} \leq N \leq K_{\mathrm{max}} $の細い帯に入り、そこに永久に留まる。
時刻$t=0$で$N$であったものが、$T$時間後に$P(N)$となるポアンカレ写像を考える。$t=0, \ \ N=K_{\mathrm{min}}$で始まる$N$の時間変化を考えると、$P(K_{\mathrm{min}})>K_{\mathrm{min}}$となる。一方、$t=0, \ \ N=K_{\mathrm{max}}$で始まる$N$の時間変化を考えると、$P(K_{\mathrm{max}})<K_{\mathrm{max}}$となる。ポアンカレ写像$P(N)$が単調な連続関数であることを考慮すると、中間値の定理より$P(N)$のグラフは45°の対角線をどこかで横切らなくてはならない。この交点を$N^*$とすると、$P(N^*)=N^*$となり、これは周期$T$のリミットサイクルが存在することを示す。
(b) ポアンカレ写像$P(N)$がある区間で$P(N) \equiv N$となり、無限に多数の閉軌道の帯ができるとする。これらの閉軌道のうち、2つの閉軌道$N_1(t) > N_2(t)$を選らんでくる。この場合、ある時刻$t$において、$N_1(t) > K(t) > N_2(t)$となり、$\dot{N}_1<0. \ \ \dot{N}_2>0$となるはずである。このような$N_1, \ \ N_2$として互いに近接したもので、非常に短い時間間隔$\Delta t$後に、$N_1(t+\Delta t)=N_2(t+\Delta t)=K(t+\Delta t)$となるようなものを選ぶことができるはずである。しかしこれは軌道が互いに交わらないということに反する。したがって、リミットサイクルは唯一であると考えられる。

解答者:goodbook 解答日時:2021-05-23 08:48:32

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