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NO. 00178283 DATE 2024 03 29

ストロガッツ非線形ダイナミクスとカオス : 数学的基礎から物理・生物・化学・工学への応用まで の読書会ページ

ストロガッツ非線形ダイナミクスとカオス : 数学的基礎から物理・生物・化学・工学への応用まで(9784621085806)

ストロガッツ非線形ダイナミクスとカオス : 数学的基礎から物理・生物・化学・工学への応用まで

著者:Strogatz,StevenHenry,1959- 田中,久陽 中尾,裕也 千葉,逸人,1982-

出版社:丸善出版 (201501)

ISBN-10:4621085808

ISBN-13:9784621085806

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P.318の問題番号「8.4.2」 に対する解答

系$\dot{r}=r(\mu-\sin r), \ \ \dot{\theta}=1$
$\mu<-1$のとき、系は原点を固定点とする安定スパイラルをもつ。$\mu$が増加していき、$\mu=-1$で半径$r=3\pi/2+2\pi n$の半安定な周期軌道が現れる。さらに、$\mu$が増加して$-1<\mu<0$になると、半安定なリミットサイクルは2つのリミットサイクルのペアに分裂し、内側に不安定なリミットサイクル、外側に安定なリミットサイクルが現れる。つまり、$\mu=-1$で周期軌道のサドルノード分岐を起こすことがわかる。

投稿者:goodbook 投稿日時:2021-05-03 11:06:52

P.318の問題番号「8.4.3」 に対する解答

系$\dot{x}=\mu x+y-x^2, \ \ \dot{y}=-x+\mu y+2x^2$
この系は2つの固定点
\[ (0,0), \ \ \left( \frac{\mu^2+1}{\mu+2}, \frac{(\mu^2+1)(1-2\mu)}{(\mu+2)^2} \right) \]をもつ。
\[ (0,0) \ : \ J = \begin{pmatrix} \mu & 1 \\ -1 & \mu \end{pmatrix}, \ \ \tau=2\mu, \ \ \Delta =\mu^2+1>0, \ \ \tau^2 - 4 \Delta = -4 \]となるので、$\mu<0$のとき安定スパイラル、$\mu>0$のとき不安定スパイラルとなる。
\[ \left( \frac{\mu^2+1}{\mu+2}, \frac{(\mu^2+1)(1-2\mu)}{(\mu+2)^2} \right) \ : \ J = \begin{pmatrix} \frac{-\mu^2+2\mu-2}{\mu+2} & 1 \\ \frac{4\mu^2-\mu+2}{\mu+2} & \mu \end{pmatrix}, \ \ \tau=\frac{4\mu-2}{\mu+2}, \ \ \Delta =-(\mu^2+1)<0 \]となるので、サドルとなる。

分岐の直上と直下での相図は添付図のようになる。数値的に調べると、ホモクリニック分岐を起こす値は約$0.066$と見積もることができる。

投稿者:goodbook 投稿日時:2021-05-04 06:44:54

P.318の問題番号「8.4.4」 に対する解答

系$\ddot{\theta}+(1-\mu \cos \theta) \dot{\theta} + \sin \theta=0, \ \ \mu \geq 0$
解)$x=\theta, \ \ y=\dot{\theta}$とおくと、方程式は
$\dot{x}=y, \ \ \dot{y}=-(1-\mu \cos x)y-\sin x$
と書ける。この系の固定点は$(n \pi,0)$となる($n$は整数)。
\[ (2n\pi,0) \ : \ J = \begin{pmatrix} 0 & 1 \\ -1 & \mu-1 \end{pmatrix}, \ \ \tau=\mu-1, \ \ \Delta =1>0, \ \ \tau^2 - 4 \Delta = (\mu-1)^2-4 \]となるので、$\mu<1$のとき安定スパイラル、$1<\mu<3$のとき不安定スパイラル、$\mu>3$のとき不安定ノードとなる。
\[ ((2n+1)\pi,0) \ : \ J = \begin{pmatrix} 0 & 1 \\ 1 & -\mu-1 \end{pmatrix}, \ \ \tau=-(\mu+1), \ \ \Delta =-1<0 \]となるので、サドルとなる。

この系の相図は添付図のようになる。$\mu=0$から始めて、$\mu$を大きくしていくと、$\mu=1$で超臨界ホップ分岐を起こし、安定なリミットサイクルが創造されることがわかる。さらに、$\mu$を大きくしていくと、リミットサイクルの一部がどんどんサドル点に近づいていき、$\mu=3.7245$付近でサドル点に触れて、ヘテロクリニック軌道となる。つまり、$\mu=3.7245$付近でサドルループ分岐を起こしていることがわかる。$\mu$がこの分岐を越えると、リミットサイクルは破壊される。

投稿者:goodbook 投稿日時:2021-05-05 09:50:27

P.318の問題番号「8.4.5」 に対する解答

駆動されたダフィン振動子$\ddot{x}+x+\varepsilon (bx^3+k \dot{x}-ax-F \cos t)=0$
解)$h(x,\dot{x})=bx^3+k \dot{x}-ax-F \cos t$とおき、$x=r \cos \theta, \ \ \dot{x}=-r \sin \theta$を代入すると、
\[ h(\theta) = br^3 \cos^3 \theta -kr \sin \theta -ar \cos \theta -F \cos (\theta - \phi) \]と書ける。したがって、平均化方程式は
\[ \begin{align}
r' &= \langle h \sin \theta \rangle \\
&= br^3 \langle \cos^3 \theta \sin \theta \rangle -kr \langle \sin^2 \theta \rangle -ar \langle \sin \theta \cos \theta \rangle -F \langle \sin \theta \cos ( \theta - \phi ) \rangle \\
&= -\frac{1}{2}kr-\frac{1}{2}F \sin \phi, \\
r \phi' &= \langle h \cos \theta \rangle \\
&= br^3 \langle \cos^4 \theta \rangle -kr \langle \sin \theta \cos \theta \rangle -ar \langle \cos^2 \theta \rangle -F \langle \cos \theta \cos ( \theta - \phi ) \rangle \\
&= \frac{3}{8}br^3-\frac{1}{2}ar-\frac{1}{2}F \cos \phi
\end{align} \]となるので、整理すると、
\[ r'=-\frac{1}{2}(kr+F \sin \phi), \ \ \phi'=-\frac{1}{8} \left( 4a-3br^2+\frac{4F}{r} \cos \phi \right) \]が得られる。

投稿者:goodbook 投稿日時:2021-05-06 04:44:23

P.319の問題番号「8.4.6」 に対する解答

平均化した系の固定点を$(r^*,\phi^*)$とおくと、
\[ \sin \phi^* = -\frac{k r^*}{F}, \ \ \cos \phi^* = \frac{r^*}{4F} (3b(r^*)^2-4a)\]を満たす。また、$r^*>0$であるので、$\phi^* \neq 2\pi n$であることがわかる。したがって、固定点$(r^*,\phi^*)$での、もとの駆動された振動子の軌道は
\[ x=r^* \cos (t+\phi^*), \ \ \dot{x}= - r^* \sin (t+\phi^*) \]となり、位相を$\phi^*$に位相ロックした周期解に対応する。
また、平均化した系でサドルノード分岐が起こるとすると、分岐点で半安定な固定点$(r^*,\phi^*)$が現れ、その後、固定点は安定な固定点$(r_1^*,\phi_1^*)$と不安定な固定点$(r_2^*,\phi_2^*)$に分裂する。これをもとの駆動された振動子の相平面上で見ると、分岐点で
\[ x=r^* \cos (t+\phi^*), \ \ \dot{x}=-r^* \sin (t+\phi^*) \]となる周期解が現れ、その後、周期解は
\[ x=r_1^* \cos (t+\phi_1^*), \ \ \dot{x}=-r_1^* \sin (t+\phi_1^*) \]と
\[ x=r_2^* \cos (t+\phi_2^*), \ \ \dot{x}=-r_2^* \sin (t+\phi_2^*) \]に分裂する。つまり、これは振動子の周期軌道のサドルノード分岐に対応することを示す。

投稿者:goodbook 投稿日時:2021-05-16 07:31:36

P.319の問題番号「8.4.7」 に対する解答

\[ \nabla \cdot \boldsymbol{x}' = \frac{1}{r} \frac{\partial}{\partial r}(rr') + \frac{1}{r} \frac{\partial}{\partial \phi} (r \phi') = -k \]となり、$\nabla \cdot \boldsymbol{x}'$が相平面全体にわたり負の符号しかもたないので、デュラックの判定法より、平均化された系は周期解をもたないことがわかる。

投稿者:goodbook 投稿日時:2021-05-16 07:32:58

P.319の問題番号「8.4.8」 に対する解答

固定点でのヤコビ行列を考えたとき、その対角成分の和$\tau$は
\[ \tau = \nabla \cdot \boldsymbol{x}' \]と表すことができる。したがって、平均化された系では$\tau=-k<0$となるので、固定点はシンク、またはサドルとなる。つまり、固定点はソースではありえない。

投稿者:goodbook 投稿日時:2021-05-16 07:34:14

P.319の問題番号「8.4.9」 に対する解答

(a) 平均化された系の固定点は
\[ \sin \phi = -\frac{k r}{F}, \ \ \cos \phi = \frac{r}{4F} (3br^2-4a)\]を満たすので、$\sin^2 \phi + \cos^2 \phi=1$より
\[ r^2 \left[ k^2+\left( \frac{3}{4} br^2-a \right)^2 \right] = F^2 \]が得られる。
(b) $b=0$のとき
\[ a= \pm \sqrt{ \frac{F^2}{r^2}-k^2 } \]となる。このグラフを描くと、添付図左上のようになる。
(c) $b \neq 0$のとき
\[ a= \frac{3}{4} br^2 \pm \sqrt{ \frac{F^2}{r^2}-k^2 } \]となる。このグラフを描くと、添付図のようになる。小さな非線形性のときは右上図のようになり、確かに1価になっていることがわかる。一方、大きな非線形性のときは左下図のようになり、3価になっていることがわかる。
また、$b_c$は
\[ a= \frac{3}{4} br^2 + \sqrt{ \frac{F^2}{r^2}-k^2 } \]に対して
\[ \frac{da}{dr} = \frac{3}{2} br-\frac{F^2}{r^2 \sqrt{F^2-k^2r^2}}=0, \ \ \frac{d^2a}{dr^2} = \frac{3}{2} b+\frac{F^2(2F^2-3k^2r^2)}{r^3 (F^2-k^2r^2)^{\frac{3}{2}}}=0 \]を満たすものである。したがって、
\[ b_c = \frac{32 \sqrt{3} k^3}{27F^2} \]が得られる。
(d) $r$を$(a,b)$平面上の面としてプロットすると、添付図右下のようになり、カスプカタストロフ面になっていることがわかる。

投稿者:goodbook 投稿日時:2021-05-16 07:39:01

P.319の問題番号「8.4.10」 に対する解答

(a) ヌルクライン$r'=0, \ \ \phi'=0$はそれぞれ
\[ \sin \phi = -\frac{k r}{F}, \ \ \cos \phi = \frac{r}{4F} (3br^2-4a)\]となる。また、$\sin^2 \phi + \cos^2 \phi=1$より
\[ a= \frac{3}{4} br^2 + \sqrt{ \frac{F^2}{r^2}-k^2 } \]となり、さらに、
\[ \frac{da}{dr} = \frac{3}{2} br-\frac{F^2}{r^2 \sqrt{F^2-k^2r^2}}=0 \]を求める。$b>b_c$のとき、この方程式を$r$について解くと、2つの正の解$r_s, \ r_b$を持つことがわかる。ただし、$r_s<r_b$。この結果を利用して、
\[ a_s= \frac{3}{4} br_s^2 + \sqrt{ \frac{F^2}{r_s^2}-k^2 }, \ \ a_b= \frac{3}{4} br_b^2 + \sqrt{ \frac{F^2}{r_b^2}-k^2 } \]とおく。
i) $a<a_s$のとき、2つのヌルクラインの交点は1つ存在する。
ii) $a=a_s$のとき、交点は2つとなる。
iii) $a_s<a<a_b$のとき、交点は3つとなる。
iv) $a=a_b$のとき、交点は2つとなる。
v) $a>a_b$のとき、交点は1つとなる。
それぞれのケースにおいて、ヌルクラインを相平面内にプロットすると、添付図のようになる。なお、赤いラインが$r'=0$を表し、青いラインが$\phi'=0$を表している。

(b) 平均化された系での固定点におけるヤコビ行列は
\[ J = \begin{pmatrix} -\frac{1}{2}k & -\frac{r}{8}(3br^2-4a) \\ \frac{1}{8r}(9br^2-4a) & -\frac{1}{2}k \end{pmatrix}, \ \ \tau=-k, \ \ \Delta = \frac{27}{64}(br^2-\frac{8}{9} a )^2 +\frac{k^2}{4}-\frac{a^2}{12} \]となる。添付図に$\Delta$を$r$の関数として、プロットしている(薄い黒線)。
i) $a<a_s$のときの1つの交点は$\Delta>0$となっているので、安定である。
ii) $a=a_s$のとき、1つの固定点は$\Delta>0$となり安定、もう一つの交点は$\Delta=0$となり半安定である。
iii) $a_s<a<a_b$のとき、3つの交点があり、そのうち2つの交点は安定、残り1つの交点はサドルである。
iv) $a=a_b$のとき、1つの交点は安定、もう1つの交点は半安定である。
v) $a>a_b$のときの1つの交点は安定である。
以上より、$a$が増加するにつれて、安定な固定点の数が1つから2つに変わり、また1つに戻ることがわかる。

投稿者:goodbook 投稿日時:2021-05-16 07:42:18

P.319の問題番号「8.4.11」 に対する解答

\[ k=1, \ \ b=\frac{4}{3}, \ \ F=2 \](a) 平均化された系の相図は添付図のようになる。
(b) 演習問題8.4.10(a)で導入した$r_s, \ r_b$は数値的に求めることができ、これらの結果を使うと、$ a_s=2.723, \ \ a_b=4.063$と求めることができる。したがって、$a=2.8$のとき$a_s<2.8<a_b$を満たすので、演習問題8.4.11の結果から2つの安定な固定点をもつ。

投稿者:goodbook 投稿日時:2021-05-16 07:44:11

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