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ストロガッツ非線形ダイナミクスとカオス の読書会ページ

ストロガッツ非線形ダイナミクスとカオス(9784621085806)

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ストロガッツ非線形ダイナミクスとカオス

著者:スティーヴン・H.ストロガッツ/田中久陽

出版社:丸善出版 (2015年01月30日頃)

ISBN-10:4621085808

ISBN-13:9784621085806

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P.96の問題番号「3.5.5」 に対する解答

(a)(3.5.3)式(p.74)を$\varepsilon = m^2gr/b^2$で書き直すと、
\[ \varepsilon \left( \frac{b}{mgT} \right)^2 \frac{d^2 \phi}{d \tau^2} = - \left( \frac{b}{mgT} \right) \frac{d \phi}{d \tau} + f(\phi) \tag{1}\]となる。ここで関心があるのは、左辺と右辺が同程度のオーダーで寄与するパラメーター領域であるので、\[ \varepsilon \left( \frac{b}{mgT} \right)^2 \approx \frac{b}{mgT} \ \]という条件が成り立つ。このとき、特徴的な時間スケール$T_{\mathrm{fast}}$は、\[ T_{\mathrm{fast}} = \frac{b}{mg} \varepsilon \tag{2} \]となる。また、(2)式に$\varepsilon = m^2gr/b^2$を代入すると、\[ T_{\mathrm{fast}} = \frac{mr}{b} \]が得られる。
(b) (1)式を$T_{\mathrm{fast}}$で書き直すと、
\[ \left( \frac{b}{mgT_{\mathrm{fast}}} \right) \frac{d^2 \phi}{d \tau^2} = - \left( \frac{b}{mgT_{\mathrm{fast}}} \right) \frac{d \phi}{d \tau} + f(\phi) \]となる。ここで、$T_{\mathrm{fast}}$が十分小さいとすると、$f(\phi)$が無視可能である。
(c) (2)式より$T_{\mathrm{slow}} = b/mg$とすると、
\[ \varepsilon = \frac{T_{\mathrm{fast}}}{T_{\mathrm{slow}}} \]となる。従って、$\varepsilon \ll 1$ならば、$T_{\mathrm{fast}} \ll T_{\mathrm{slow}}$となる。

投稿者:goodbook 投稿日時:2020-05-21 06:46:48

P.96の問題番号「3.5.6」 に対する解答

$ \varepsilon \ddot{x} + \dot{x} + x = 0 \ \ \ \ (x(0)=1, \dot{x} = 0)$

(a) i)$ \varepsilon < 1/4$のとき
\[ x(t) = \left( \frac{1}{2} + \frac{1}{2 \sqrt{1-4 \varepsilon}} \right) e^{\frac{-1+\sqrt{1-4 \varepsilon}}{2 \varepsilon} t} + \left( \frac{1}{2} - \frac{1}{2 \sqrt{1-4 \varepsilon}} \right) e^{\frac{-1-\sqrt{1-4 \varepsilon}}{2 \varepsilon} t} \] ii)$ \varepsilon = 1/4$のとき
\[ x(t) = (2t+1) e^{-2t} \] iii)$ \varepsilon > 1/4$のとき
\[ x(t) = \left( \frac{1}{\sqrt{4 \varepsilon - 1}} \sin \frac{\sqrt{4 \varepsilon - 1}}{2 \varepsilon} t + \cos \frac{\sqrt{4 \varepsilon - 1}}{2 \varepsilon} t \right) e^{-\frac{t}{2 \varepsilon}} \](b) $\varepsilon \ll 1$のとき
\[ x(t) = (1+\varepsilon) e^{-t} - \varepsilon e^{-\frac{t}{\varepsilon}+t} \]したがって、$\mathcal{O}(\varepsilon)$の時間スケールと$\mathcal{O}(1)$の時間スケールがある。
(c)省略
(d)$\dot{x}+x=0 \ \ (x(0) = 1)$の解は$x(t) = e^{-t}$となる。したがって、時間スケールが$\mathcal{O}(1)$の場合、特異極限で置き換えることは妥当。
(e)力学的な系の例として問題3.5.4で$h=0$とすると
\[ m \ddot{x} + b \dot{x} + k(x-L_0) = 0 \]ここで、$x-L_0$を改めて$x$とおくと(物理的にはばねの自然長の位置を$0$とする)
\[ m \ddot{x} + b \dot{x} + kx = 0 \]これを無次元化すると、$\varepsilon=mk/b^2$として
\[ \varepsilon \ddot{x} + \dot{x} + x = 0 \]に帰着する。

次に、電気回路系であれば、電源電圧が一定のRLC回路。コンデンサの電荷を$q(t)$とすると、
\[ L \frac{d^2 q}{dt^2} + R \frac{dq}{dt} + \frac{1}{C} q(t) = V \]の方程式が得られる。ここで、$q(t)-CV$を$q(t)$とおき、無次元化すると、$\varepsilon = L/R^2C$として、
\[ \varepsilon \ddot{q} + \dot{q} + q = 0 \]に帰着する。
これは、コイルのインダクタンス$L$が十分小さいとき、または抵抗器の電気抵抗$R$やコンデンサの静電容量$C$が十分大きいとき、$\varepsilon \ll 1$と見なせる。

投稿者:goodbook 投稿日時:2020-05-23 04:42:38

P.96の問題番号「3.5.7」 に対する解答

\[ \dot{N} = r N \left( 1 - \frac{N}{K} \right) ,\ \ N(0) = N_0 \](a)それぞれの次元は$r$:1/時間、$K$:個体数、$N$:個体数
(b)$N(t) = K x(t), \ t= \tau/r$とおくと
\[ \frac{dx}{d \tau} = x(1 - x) \]が得られる。このとき、
\[ x(0) = x_0 = \frac{N_0}{K} \]
(c)$N(t) = N_0 u(t), \ t= \tau/r$とおくと
\[ \frac{du}{d \tau} = u \left( 1 - \frac{u}{k} \right), \ \ u(0) = u_0 = 1 \]
が得られる。ここで、$k=K/N_0$とおいた。
(d)一方の無次元化の方法が、他方の無次元化の用法に比べて利点をもっているとはいえない。(b)の無次元化は個体数の特徴的なスケールとして環境収容力$K$を用いたもの。一方、(c)の無次元化は個体数の特徴的なスケールとして初期($t=0$)の個体数$N_0$を用いたもの。

投稿者:goodbook 投稿日時:2020-05-23 05:02:36

P.97の問題番号「3.5.8」 に対する解答

$\dot{u} = a u + b u^3 + c u^5$

$u=Ux$, $t=T \tau$を代入すると、
\[ \frac{dx}{d \tau} = aTx + bTU^2 x^3 - c T U^4 x^5 \]となる。ここで$bTU^2=1$, $cTU^4=1$となるように$U,T$を選ぶと、
\[ U = \sqrt{\frac{b}{c}}, \ \ T = \frac{c}{b^2} \]となる。したがって、
\[ r = aT = \frac{ac}{b^2} \]とすると、
\[ \frac{dx}{d \tau} = rx + x^3 - x^5 \]
となる。

投稿者:goodbook 投稿日時:2020-05-23 05:10:56

P.97の問題番号「3.6.1」 に対する解答

$h>0$に対応している。

投稿者:goodbook 投稿日時:2020-05-25 05:21:14

P.97の問題番号「3.6.2」 に対する解答

不完全トランスクリティカル分岐 $\dot{x} = h + r x - x^2$
(a)
i)$h<0$のとき
1) $r^2 < -4h$のとき、固定点なし
2) $r^2 > -4h$のとき、安定固定点$\frac{r+\sqrt{r^2+4h}}{2}$, 不安定固定点$\frac{r-\sqrt{r^2+4h}}{2}$
ii) $h=0$のとき
1) $r<0$のとき、安定固定点$0$, 不安定固定点$r$
2) $r>0$のとき、安定固定点$r$, 不安定固定点$0$
iii) $h>0$のとき
安定固定点$\frac{r+\sqrt{r^2+4h}}{2}$, 不安定固定点$\frac{r-\sqrt{r^2+4h}}{2}$
(b)
i) $h<-r^2/4$の領域では、固定点なし
ii) $h=-r^2/4$の領域では、1つの固定点
iii) $h>-r^2/4$の領域では、2つの固定点
(c)ポテンシャルは
$V(x) = C(r,h)-hx-\frac{r}{2} x^2 + \frac{1}{3}x^3$
となる。
i) $h<-r^2/4$の領域では、極値はなし、$x=\frac{r}{2}$に変曲点
ii) $h=-r^2/4$の領域では、$x=\frac{r}{2}$が極値かつ変曲点
iii) $h>-r^2/4$の領域では、$x=\frac{r \pm \sqrt{r^2+4h}}{2}$に極値、$x=\frac{r}{2}$に変曲点

投稿者:goodbook 投稿日時:2020-05-25 05:55:58

P.97の問題番号「3.6.3」 に対する解答

超臨界ピッチフォーク分岐に対する摂動 $\dot{x} = rx + ax^2 - x^3$
(a)
(1-1) $a<0$, $r < -a^2/4$のとき、安定固定点$0$
(1-2) $a<0$, $r = -a^2/4$のとき、安定固定点$0$, 半安定固定点$a/2$
(1-3) $a<0$, $-a^2/4 < r < 0$のとき、安定固定点$0, \frac{a}{2}-\sqrt{r+\frac{a^2}{4}}$, 不安定固定点$\frac{a}{2}+\sqrt{r+\frac{a^2}{4}}$
(1-4) $a<0$, $r = 0$のとき、安定固定点$a$, 半安定固定点$0$
(1-5) $a<0$, $r > 0$のとき、安定固定点$\frac{a}{2} \pm \sqrt{r+\frac{a^2}{4}}$, 不安定固定点$0$
(2-1) $a=0$, $r < 0$のとき、安定固定点$0$
(2-2) $a=0$, $r = 0$のとき、安定固定点$0$
(2-3) $a=0$, $r > 0$のとき、安定固定点$\pm \sqrt{r}$, 不安定固定点$0$
(3-1) $a>0$, $r < -a^2/4$のとき、安定固定点$0$
(3-2) $a>0$, $r = -a^2/4$のとき、安定固定点$0$, 半安定固定点$a/2$
(3-3) $a>0$, $-a^2/4 < r < 0$のとき、安定固定点$0, \frac{a}{2}+\sqrt{r+\frac{a^2}{4}}$, 不安定固定点$\frac{a}{2}-\sqrt{r+\frac{a^2}{4}}$
(3-4) $a>0$, $r = 0$のとき、安定固定点$a$, 半安定固定点$0$
(3-5) $a>0$, $r > 0$のとき、安定固定点$\frac{a}{2} \pm \sqrt{r+\frac{a^2}{4}}$, 不安定固定点$0$
(b)
$r<-a^2/4$の領域では、1つの固定点
$r=-a^2/4$かつ$a\neq 0$の境界領域では、2つの固定点
$-a^2/4<r<0$の領域では、3つの固定点
$r=0$かつ$a\neq 0$の境界領域では、2つの固定点
$r>0$かつ$a\neq 0$の領域では、3つの固定点
$r=0$かつ$a=0$の点では、1つの固定点

$r=-a^2/4$かつ$a\neq 0$の境界で、サドルノード分岐
$r=0$かつ$a\neq 0$の境界で、トランスクリティカル分岐
$r=0$かつ$a=0$の点で超臨界ピッチフォーク分岐

投稿者:goodbook 投稿日時:2020-05-25 06:51:42

P.98の問題番号「3.6.4」 に対する解答

$\dot{x} = r - x^2$に不完全性を加えることを考える。
i) 不完全性を表す項として$ax$を加えると、
\[\dot{x} = r + ax - x^2 \]これは「演習問題3.6.2」で扱った不完全トランスクリティカル分岐を示す。
ii) 不完全性を表す項として$-bx^3$を加えると、
\[ \dot{x} = r - x^2 -b x^3 \]となる。ここで、
\[ x = \frac{1}{\sqrt{b}} u - \frac{1}{3b}, \ a = \frac{1}{3b}, \ h = \sqrt{b}r - \frac{2}{27a\sqrt{a}} \]とおくと、
\[ \dot{u} = h + au -u^3 \]と変形できる。これは(3.6.1)式と一致する。この式はカタストロフィーなどを起こす。

投稿者:goodbook 投稿日時:2020-05-27 05:46:49

P.98の問題番号「3.6.5」 に対する解答

(a)この系の運動方程式は
\[ m \ddot{x} + mg \sin \theta - k (\sqrt{a^2+x^2} - L_0) \frac{x}{\sqrt{a^2+x^2} } = 0 \]となる。従って、釣り合いの位置では、
\[ mg \sin \theta = kx \left( 1 - \frac{L_0}{\sqrt{a^2+x^2}} \right) \tag{1} \]が成り立つ。
(b) $h$と$R$をそれぞれ
\[ x = au, \ \ h = \frac{mg \sin \theta}{ak}, \ \ R=\frac{L_0}{a} \]とおくと、(1)式は
\[ 1 - \frac{h}{u} = \frac{R}{\sqrt{1 + u^2}} \tag{2} \]で表示される。
(c)
i) $R < 1$のとき、1つの固定点
ii) $1 < R < (1 + h^{\frac{2}{3}})^{\frac{3}{2}}$のとき、1つの固定点
iii) $R = (1 + h^{\frac{2}{3}})^{\frac{3}{2}}$のとき、2つの固定点
iv) $R > (1 + h^{\frac{2}{3}})^{\frac{3}{2}}$のとき、3つの固定点
(d) $u$が十分小さいとすると、(2)式の右辺は
\[ 1 - \frac{h}{u} = \frac{r+1}{\sqrt{1 + u^2}} = (r+1) \left( 1 - \frac{1}{2}u^2 + \mathcal{O}(u^4) \right) \]従って\[ h + ru - \frac{r+1}{2}u^3 + \mathcal{O}(u^5) = 0 \]と変形できるので、さらに$r$も十分小さいとすると、
\[ h + ru - \frac{1}{2}u^3 \approx 0 \]が得られる。
(e) サドルノード分岐が起こる$u$の値は
\[ \frac{d}{du} \left[ h + ru - \frac{1}{2}u^3 \right] = 0 \]を満たすので、
\[ u = - \sqrt{\frac{2r}{3}} \]が得られる。ここで、
\[ u = - \sqrt{\frac{2r}{3}} + v \]とおき、$v$が十分小さいとすると、
\[ h + ru - \frac{1}{2}u^3 \approx h - \frac{2r}{3}\sqrt{\frac{2r}{3}}+ \frac{3}{2}\sqrt{\frac{2r}{3}}v^2 \]となり、サドルノード分岐の近似式が得られる。
(f) 分岐曲線は$1-\frac{h}{u}$と$\frac{R}{\sqrt{1+u^2}}$が接するところに現れる。従って、
\[ 1-\frac{h}{u} = \frac{R}{\sqrt{1+u^2}} \\
\frac{h}{u^2} = - \frac{Ru}{(1+u^2)^{\frac{3}{2}}} \]を満たす。これらの方程式から\[ h(u) = -u^3, \ \ R(u) = (1 + u^2)^{\frac{3}{2}} \tag{3} \]が得られる。
(g) (3)式から
\[ r = (1 + h^{\frac{2}{3}})^{\frac{3}{2}} - 1 \]が得られる。従って、
i) $ r < (1 + h^{\frac{2}{3}})^{\frac{3}{2}} - 1 $のとき、1つの固定点
ii) $ r = (1 + h^{\frac{2}{3}})^{\frac{3}{2}} - 1 $のとき、2つの固定点
iii) $ r > (1 + h^{\frac{2}{3}})^{\frac{3}{2}} - 1 $のとき、3つの固定点
(h)
i) $L_0 < a$のとき、ばねがビーズを引っ張る力と重力の$x$方向が釣り合う点が安定固定点となる。
ii) $L_0 > a$のとき、$\theta$が小さいときはビーズが下に下がり、ばねがビーズを引っ張る力と重力の$x$方向が釣り合う点が安定固定点となるが、$\theta$が大きくなると、新たに$x<0$の領域で固定点が2点現れる。それらはそれぞれ$x=0$の付近と$x = -\sqrt{L_0^2 - a^2}$の付近に現れ、前者はビーズを押す力と重力がちょうど鉛直方向に向いている場合で不安定固定点、後者はばねがビーズを押す力と重力の$x$方向が釣り合う点で安定固定点となる。

投稿者:goodbook 投稿日時:2020-05-28 05:39:40

P.98の問題番号「3.6.6」 に対する解答

(a) 超臨界の場合、$\tau \dot{A} = \varepsilon A - g A^3$に従う。このとき、\[ A^* = \sqrt{\frac{\varepsilon}{g}} \]となるので、$g=\varepsilon^{\mp0.02}$となることが予言される。
(b) 方程式$\tau \dot{A} = \varepsilon A - g A^3 - k A^5$に対して$g=0$とすると、
\[ A^* = \left( \frac{\varepsilon}{k} \right)^{\frac{1}{4}} \]となる。

投稿者:goodbook 投稿日時:2020-06-01 05:37:26

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