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NO. 00025371 DATE 2024 04 24

ラヴェル の読書会ページ

ラヴェル(9784622073321)

ラヴェル

著者:Echenoz,Jean 関口,涼子,1970-

出版社:みすず書房 (200710)

ISBN-10:4622073323

ISBN-13:9784622073321

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気になるフレーズの投稿一覧

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P.67 の気になるフレーズ

ラヴェルはずっと自動人形や機械が好きだったし、工場を見学したり工業地帯を眺めたりするのも好きだった、彼は、二十年以上前に川船に乗ってベルギーやラインラントの工業地帯を通った時の風景を覚えている、街の煙突はハリネズミのとげのように屹立し、時に赤黒く時に青い煙や炎を吐く大伽藍、鋳鉄の城、白熱した大聖堂、そしてベルトや笛、ハンマーの音の奏でる交響曲が赤く映えた空に響いていた。

総コメント数:2 投稿日時:2019-08-20 12:55:48

P.73 の気になるフレーズ

テクニックその二――何時間もベッドの中で寝返りをうち、最も適切な姿勢を探すこと、ラヴェルという名の器官をラヴェルのベッドという名の家具に理想的にフィットさせ、最も規則的な呼吸、枕の上の頭の完璧な位置、身体を寝床と融合させついには一つにさせる状態を探すこと、この融合が睡眠への扉を開くことができるだろうから。

総コメント数:1 投稿日時:2019-08-22 05:30:59

P.74 の気になるフレーズ

分かっているのは、ラヴェルがある日一人の女友達に思い切って結婚を申し込んだとき、この女性は大声で笑い出し、頭がおかしいんじゃないの、と皆の前で言ったことだ。それから、エレーヌに話を持っていき、田舎に住むのはどうかなと遠回しなやり方で彼女に尋ねた時、彼女もまた、もっと柔和な物言いでだが、その提案を退けたのだった。しかし三回目に、ラヴェルが小柄でやせているのと同じ程度に大柄で肉付きの良い女性が彼に同様の提案をした時、今度は彼の方が涙が出るほど笑ったということが分かっている。

総コメント数:1 投稿日時:2019-08-22 05:37:53

P.80 の気になるフレーズ

このところ自分の名声は高まるばかり、いたるところで作品が演奏され、新聞では自分の話しか出ないことをラヴェルはよく知っている。これほどの事態は前代未聞だろう、なにせ『パリ=ソワール』紙の記者が、『高雅で感傷的なワルツ』の作曲者は、あらゆる補助席に意味を与えたことを誇る正統な権利がある、と賞讃の声を上げるにまで至ったのだ。

総コメント数:3 投稿日時:2019-08-22 05:45:53

P.81 の気になるフレーズ

ある晩彼はロザンタール青年と一緒にダリウス・ミヨーのバレエを見に行く、そして手が痛くなるほど拍手し、この作品は非の打ち所がなく素晴らしいと思う、ブラヴォー、素敵だ、すごい。ご冗談を、ラヴェルの脇で彼は言う、ミヨーがあなたのことを何て言っているかご存じないのですか。暇さえあればあなたのことをぼろくそに言ってまわっているのですよ。彼は間違ってないよ、とラヴェルは指摘する、それが若いときにしなきゃいけないことだ。

総コメント数:2 投稿日時:2019-08-22 05:54:11

P.83 の気になるフレーズ

今度はポケットチーフを忘れたと気がつくとパニックに陥りそれからがまたひと騒動だ。カザドシュは、自分のを貸そうかと持ちかけるがラヴェルはそれはできないという。勿論だ、それはありえない、二人は同じイニシャルではないのだから。

総コメント数:1 投稿日時:2019-08-22 05:59:05

P.84 の気になるフレーズ

最終的には、彼女がこの協奏曲を演奏することになる、ラヴェルは自分自身で演奏したいと思い、この曲が求めているヴィルトゥオーゾを得ようとして死にものぐるいになり、テクニックを上げるためにリストやショパンのエチュードを何時間も指が壊れるほど弾いたりしたのだが、それも無駄なことだ。

総コメント数:2 投稿日時:2019-08-25 11:47:54

P.87 の気になるフレーズ

作品に向かい合ってできるかぎり作品に奉仕する代わりに、彼はスタンドプレーを始め、アルペッジオをあっちにつけたりこっちにつけたり、小節をこっちにつけたり、トリルをかがりテンポを揺さぶり、前打音やターンその他の装飾音を頼まれてもいないのにつけ、何かにつけ鍵盤を高音へと一気に駆け上がり、見せようとしているのは、自分がどれだけ器用で巧み、相変わらず柔軟かということ、どうだまいったか。ラヴェルは顔面蒼白になる。

総コメント数:1 投稿日時:2019-08-25 12:02:52

P.88 の気になるフレーズ

モールディングには気まずさ、漆喰の壁には困惑が行き渡る。タキシードの胸当ては色を失い、ロングドレスの縁はこわばり、給仕長は自分の靴を見つめる。

総コメント数:1 投稿日時:2019-08-25 11:54:30

P.93 の気になるフレーズ

パリ、十月の夜、午前一時。シャンゼリゼ劇場の前で、赤ら顔で色あせた帽子をかぶった運転手のジャン・デルフィニは、ドラエ109のタクシーに一人の乗客を乗せたところだ。

総コメント数:3 投稿日時:2019-08-23 05:25:55

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