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ストロガッツ非線形ダイナミクスとカオス の読書会ページ

ストロガッツ非線形ダイナミクスとカオス(9784621085806)

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ストロガッツ非線形ダイナミクスとカオス

著者:スティーヴン・H.ストロガッツ/田中久陽

出版社:丸善出版 (2015年01月30日頃)

ISBN-10:4621085808

ISBN-13:9784621085806

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P.323の問題番号「8.7.9」 に対する解答

系$\dot{r}=r-r^2, \ \ \dot{\theta}=1$
(a) $r_0$を$S$上の初期点とする。$\dot{\theta}=1$なので、最初に$S$に戻るのは帰還時間$t=2\pi$の後となる。よって$r_1=P(r_0)$で、$r_1$は
\[ \int_{r_0}^{r_1} \frac{dr}{r(1-r)}=\int_0^{2\pi}dt=2\pi \]を満たす。この式より
\[ r_1=(1-(1-r_0^{-1})e^{-2\pi})^{-1} \]となる。ゆえにポアンカレ写像$P$は
\[ P(r)=(1-(1-r^{-1})e^{-2\pi})^{-1} \]となる。
(b) 固定点は$P$のグラフが45°の直線と交わる点$r^*=1$に生じる。また、ポアンカレ写像$P(r)$の$r^*=1$での傾きは$e^{-2\pi}<1$となるので、クモの巣図法により、固定点$r^*=1$が安定で唯一であることがわかる。
(c) $r^*$における線形化したポアンカレ写像は
\[ DP(r^*)=e^{-2\pi} \]となる。つまり、特性乗数は$e^{-2\pi}$となる。

投稿者:goodbook 投稿日時:2021-07-24 16:26:58

P.324の問題番号「8.7.10」 に対する解答

閉軌道をもつ系$\dot{\boldsymbol{x}}=\boldsymbol{f}(\boldsymbol{x})$のフロケ乗数の導出方法

断面$S$上の点を$\boldsymbol{x}_0$とし、$\boldsymbol{x}(0)=\boldsymbol{x}_0$とすると、この系の一般解は
\[ \boldsymbol{x}(t)=\boldsymbol{\varphi}(t,\boldsymbol{x}_0) \]と表すことができる。このとき、帰還時間を$T$とすると、ポアンカレ写像$P$は
\[ P(\boldsymbol{x}_0)=\boldsymbol{\varphi}(T, \boldsymbol{x}_0) \]となる。この式から固定点$\boldsymbol{x}^*$における線形化したポアンカレ写像は
\[ DP(\boldsymbol{x}^*)=\left. \frac{\partial \boldsymbol{\varphi}(T, \boldsymbol{x}_0)}{\partial \boldsymbol{x}_0} \right|_{\boldsymbol{x}_0=\boldsymbol{x}^*} \]と書くことができる。一方、
\[ \frac{d}{dt} \frac{\partial \boldsymbol{\varphi}(t,\boldsymbol{x}_0)}{\partial \boldsymbol{x}_0} = \frac{\partial \boldsymbol{f}(\boldsymbol{x})}{\partial \boldsymbol{x}} \frac{\partial \boldsymbol{\varphi}(t,\boldsymbol{x}_0)}{\partial \boldsymbol{x}_0} \]が成り立つので、
\[ \left. \frac{\partial \boldsymbol{\varphi}(t,\boldsymbol{x}_0)}{\partial \boldsymbol{x}_0} \right|_{t=0} = \boldsymbol{I} \]を初期値として、この式を$0$から$T$まで数値積分すると、$DP(x^*)$を得ることができる。ここで、$\boldsymbol{I}$は単位行列。最後に、$DP(x^*)$の特性方程式を解くことにより、数値的にフロケ乗数を求めることができる。

投稿者:goodbook 投稿日時:2021-07-27 04:30:26

P.324の問題番号「8.7.11」 に対する解答

$N$次元の系
\[ \dot{\phi}_i=\Omega+a \sin \phi_i + \frac{1}{N} \sum_{j=1}^N \sin \phi_i \]に対し、変数変換$\phi_i \to \phi_i+\frac{\pi}{2}$とすると、系は
\[ \dot{\phi}_i=\Omega+a \cos \phi_i + \frac{1}{N} \sum_{j=1}^N \cos \phi_i \]と書き直すことができる。このとき、系は
\[ t \to -t, \ \ \phi_i \to -\phi_i + 2\pi n \]の変換に対して可逆となる。同相解$\phi^*(t)$の方程式
\[ \frac{d \phi^*}{dt}=\Omega+(a+1) \cos \phi^* \]も$t \to -t, \ \ \phi^* \to -\phi^* + 2\pi n$に対して可逆となる。
これは、同相解が$\phi^*(t)=-\phi^*(-t)+2\pi n$を満たすことを示す。特に、$t=0$のとき、$\phi^*(0)=-\phi^*(0)+2\pi n$となるので、
\[ \phi^*(0) = \pi n \]となる。
次に、$T\neq T'$として、$\phi^*(t)$が
\[ \phi^*(T)=\pi n + 2\pi, \ \ \phi^*(-T') = \pi n - 2\pi \]を満たすと仮定する。これは、閉軌道を1周するごとに帰還時間が変化する、つまり、同相状態は吸引的であることを示す。
しかし、これは$\phi^*(T)=-\phi^*(-T)+2\pi n$であることから、
\[ \phi^*(-T)=\phi^*(-T')=\pi n - 2\pi \]となり、$T \neq T'$であることに反する。
したがって、同相状態は吸引的ではないことが示される。

投稿者:goodbook 投稿日時:2021-07-31 12:47:40

P.324の問題番号「8.7.12」 に対する解答

$N$個の同一の振動子系
\[ \dot{\theta}_i=f(\theta_i)+\frac{K}{N}\sum_{j=1}^Nf(\theta_j) \ \ (i=1,\cdots,N) \]$f(\theta)$は滑らかで$2\pi$周期的、すべての$\theta$について$f(\theta)>0$。
解)同相解を$\theta_1(t)=\cdots=\theta_N(t)=\theta^*(t)$とおくと、$N$個すべての方程式は
\[ \frac{d\theta^*(t)}{dt}=(1+K)f(\theta^*) \]となり、同相解は周期的となる。
次に、同相解の安定性を決定するため、$\eta_i(t)$を無限小の摂動として、$\theta_i(t)=\theta^*(t)+\eta_i(t)$とすると、
\[\dot{\eta}_i(t)=f'(\theta^*)\eta_i+Kf'(\theta^*)\frac{1}{N}\sum_{j=1}^N\eta_j \]が得られる。ここで、$\eta$の2次の項を落とした。
変数を
\[ \mu=\frac{1}{N}\sum_{j=1}^N\eta_j, \ \ \xi_i=\eta_{i+1}-\eta_i \ \ (i=1,\cdots,N-1) \]と変換することによって分解できて、
\[ \dot{\mu}(t)=(1+KN)f'(\theta^*)\mu(t), \ \ \dot{\xi}_i(t)=f'(\theta^*)\xi_i(t) \ \ (i=1,\cdots,N-1) \]となる。これらの方程式を変数分離すると、
\[ \frac{d\mu}{\mu}=\frac{(1+KN)f'(\theta^*)}{(1+K)f(\theta^*)}d\theta^*, \ \ \frac{d\xi_i}{\xi_i}=\frac{f'(\theta^*)}{(1+K)f(\theta^*)}d\theta^* \]となるので、閉軌道$\theta^*$を1周した後の摂動の変化は
\[ \ln\frac{\mu(T)}{\mu(0)}=\frac{1+KN}{1+K}[ \ln f(\theta^*) ]_0^{2\pi}=0, \ \ \frac{\xi_i(T)}{\xi_i(0)}=\frac{1}{1+K}[ \ln f(\theta^*) ]_0^{2\pi}=0 \]となり、$\mu(T)=\mu(0), \ \ \xi_i(T)=\xi_i(0)$が得られる。よって、すべての$i$に対して$\eta_i(T)=\eta_i(0)$である。つまり、閉軌道を1周しても摂動はすべて変化しない。したがって、特性乗数はすべて$\lambda_j=1$となる。

投稿者:goodbook 投稿日時:2021-08-01 11:33:09

P.372の問題番号「9.1.1」 に対する解答

(a) 角度$\theta$での水の質量分布$m(\theta,t)$に対して、慣性モーメントは$m(\theta,t)r^2$となるので、
\[ I_{\mathrm{water}}=\int_0^{2\pi}m(\theta,t)r^2d \theta=r^2\int_0^{2\pi}m(\theta,t)d\theta=Mr^2 \]と表示できる。
(b) まず、$\dot{M}$は、
\[ \dot{M}=\int_0^{2\pi}\frac{\partial m(\theta,t)}{\partial t} d\theta \]と表せる。次に、連続の式(9.1.2)を用いると、
\[ \begin{align}
\dot{M} &= \int_0^{2\pi} \left[ Q(\theta)-Km(\theta,t)-\omega \frac{\partial m}{\partial \theta} \right] d\theta \\
&= \int_0^{2\pi}Q(\theta)d\theta-K \int_0^{2\pi}m(\theta,t)d\theta-\omega \int_0^{2\pi} \frac{\partial m}{\partial \theta} d\theta \\
&= Q_{\mathrm{total}}-KM-\omega(m(2\pi,t)-m(0,t)) \\
&= Q_{\mathrm{total}}-KM
\end{align}
\]となることがわかる。
(c) $\dot{M}=Q_{\mathrm{total}}-KM$より$M$は時間経過するにつれて、安定な固定点$M^*=Q_{\mathrm{total}}/K$に近づくことがわかる。したがって、慣性モーメントは$t \to \infty$で
\[ I(t) \to I_{\mathrm{wheel}}+\frac{r^2 Q_{\mathrm{total}}}{K} \]になることがわかる。

投稿者:goodbook 投稿日時:2021-08-03 04:49:01

P.372の問題番号「9.1.2」 に対する解答

(a) $Q(\theta)=q_1 \cos \theta$のとき、$n\neq 1$のモードは
\[ \dot{a}_n=n \omega b_n-Ka_n, \ \ \dot{b}_n=-n\omega a_n-Kb_n \]となる。ここで、$a_n^2+b_n^2$の時間微分を考えると、
\[ \frac{d}{dt}(a_n^2+b_n^2)=2a_n \dot{a}_n+2b_n \dot{b}_n=-2K(a_n^2+b_n^2) \]となるので、
\[ a_n^2+b_n^2=Ae^{-2Kt} \]となり、$t \to \infty$で$a_n,b_n \to 0$となる。
(b) $Q(\theta)$が
\[ Q(\theta)=\sum_{n=0}^{\infty} q_n \cos(n \theta) \]の場合、$n\neq 1$のモードは
\[ \dot{a}_n=n \omega b_n-Ka_n, \ \ \dot{b}_n=-n\omega a_n-Kb_n+q_n \]となる。ここで、これらの方程式を
\[ \begin{align}
\dot{a}_n &=n \omega \left(b_n-\frac{Kq_n}{n^2\omega^2+K^2} \right)-K \left( a_n-\frac{n\omega q_n}{n^2\omega^2+K^2} \right), \\
\dot{b}_n &=-n\omega \left( a_n-\frac{n\omega q_n}{n^2\omega^2+K^2} \right)-K \left(b_n-\frac{Kq_n}{n^2\omega^2+K^2} \right)
\end{align}
\]のように変形することができる。このとき、$\omega$が時間依存するので、
\[ \frac{d}{dt} \left( a_n-\frac{n\omega q_n}{n^2\omega^2+K^2} \right) = \dot{a}_n, \ \ \frac{d}{dt}\left(b_n-\frac{Kq_n}{n^2\omega^2+K^2} \right)=\dot{b}_n \]にはならないが、ある程度時間が経過したときに、$\omega$が適当な固定点$\omega^*$に近づいていくとすると、$\omega$を定数とみなせると考えられる。このとき、$t \to \infty$で、
\[ a_n \to \frac{n\omega^* q_n}{n^2{\omega^*}^2+K^2}, \ \ b_n \to \frac{K q_n}{n^2{\omega^*}^2+K^2} \]になると考えられる。

投稿者:goodbook 投稿日時:2021-08-05 05:10:46

P.373の問題番号「9.1.3」 に対する解答

水車の方程式
\[ \begin{align}
\dot{a}_1 &= \omega b_1-Ka_1 \\
\dot{b}_1 &= -\omega a_1+q_1-Kb_1 \\
\dot{\omega} &= -\frac{\nu}{I}\omega + \frac{\pi gr}{I}a_1
\end{align}
\]
解)変数変換
\[ x=\frac{\omega}{K}, \ \ y=\frac{\pi gr}{K \nu}a_1, \ \ z=-\frac{\pi gr}{K \nu}\left(b_1-\frac{q_1}{K} \right), \ \ \tau=Kt \]を行うと、ローレンツ方程式
\[ \begin{align}
\dot{x} &= \sigma(y-x) \\
\dot{y} &= rx-xz-y \\
\dot{z} &= xy-bz
\end{align}
\]が得られる。ここで、
\[ \sigma = \frac{\nu}{KI}, \ \ r=\frac{\pi grq_1}{K^2 \nu}, \ \ b=1 \]と表すことができる。

投稿者:goodbook 投稿日時:2021-08-06 04:40:37

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