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形象と時間 : 美的時間論序説 の読書会ページ

形象と時間 : 美的時間論序説(9784061593183)

形象と時間 : 美的時間論序説

著者:谷川,渥,1948-

出版社:講談社 (199802)

ISBN-10:4061593188

ISBN-13:9784061593183

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P.76の気になるフレーズ

シャトーブリアンによれば、「時の仕業」としての廃墟にはなんら不快なところがない。なぜならそこには長年にわたる自然の作用があって、建物の残骸には花が咲き、墓には鳩が巣をつくっているからである。自然はたえず再生しながら、死を生の最も甘美な幻想で取り囲むのだ。これに対して「人間の仕業」としての廃墟は、廃墟というよりはむしろ損害であって、それが呈示しているのは虚無の形姿(イマージュ)でしかなく、回復力をもっていない。歳月の仕業ではなく不幸の仕業であるから、それは青年の頭にある白髪みたいなものだ。人間による破壊は、歳月による破壊よりもずっと暴力的で完璧なのだ。

総コメント数:2 投稿日時:2019-08-04 19:31:11

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気になるフレーズへのコメント

1

完璧な破壊

「時の仕業」も「人間の仕業」もさらに長い時間によって、その区別が曖昧になっていく気もします。
でも、「暴力的で完璧」という言葉には背筋を凍らせる何かを感じます。いつか、人間がそれを成し遂げてしまいそうだからでしょうか。

投稿者:kukka55 投稿日時:2019-08-04 19:31:11

2

自然と人工

ここでも「自然」の対語として「人工」を挙げてありますが、
自分は、「人工」は「自然」に含まれるものだと思っています。
ですので、『「時の仕業」も「人間の仕業」もさらに長い時間によって、その区別が曖昧になっていく気もします。』というのは分かりますね。
実際、『夏草や兵どもが夢の跡』もこの曖昧になった結果のような感じを受けます。

投稿者:goodbook 投稿日時:2019-08-05 05:52:19