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ストロガッツ非線形ダイナミクスとカオス の読書会ページ

ストロガッツ非線形ダイナミクスとカオス(9784621085806)

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ストロガッツ非線形ダイナミクスとカオス

著者:スティーヴン・H.ストロガッツ/田中久陽

出版社:丸善出版 (2015年01月30日頃)

ISBN-10:4621085808

ISBN-13:9784621085806

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P.206の問題番号「6.5.10」への解答

ハミルトニアン
\[ H(p,r) = \frac{p^2}{2} + \frac{h^2}{2r^2} -\frac{k}{r} \] (a)(b) 実効的なポテンシャル
\[ V(r) = \frac{h^2}{2r^2} -\frac{k}{r} \]のグラフを描くと、$r^*= h^2/k$で極小値$V(r^*)=-k^2/2h^2$をもち、$\lim_{r \to +0} V(r) = \infty, \ \ \lim_{r \to \infty} V(r) = -0$となるような形になる。
i) $E>0$のとき、$V(r)$との交点の$r$座標は
\[ r_{\mathrm{min}} = \frac{-k+\sqrt{k^2+2h^2E}}{2E} \]このとき、粒子が$r \to \infty$から原点に運動量$-\sqrt{2E}$で近づき、わずかに加速しながら、点$r^*$で$-\sqrt{2E+k^2/h^2}$(最大値)をとり、その後、減速して$r_{\mathrm{min}}$で運動量はゼロとなる。その後の運動は原点から遠ざかる方向に同じ行程を逆にたどっていく。
ii) $E=0$のとき、粒子の軌道は$r=\infty$をサドル点とするようにしてホモクリニック軌道を描く。
iii) $-k^2/2h^2 < E < 0$のとき、$V(r)$との交点の$r$座標は
\[ r_{\mathrm{min}} = \frac{k-\sqrt{k^2-2h^2|E|}}{2|E|}, \ \ r_{\mathrm{max}} = \frac{k+\sqrt{k^2-2h^2|E|}}{2|E|} \]の2点となる。このとき、粒子の軌道は$r_{\mathrm{min}}$から$r_{\mathrm{max}}$までの周期軌道を描く。つまり、粒子は力に「捉えられて」いて、軌道が閉じていることがわかる。
iv) $E<-k^2/2h^2$となるような相図は描けない。
これらのポテンシャルと相図の例は添付図。

解答者:goodbook 解答日時:2020-11-06 05:11:39

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問題解答へのコメント

1

(c) $k<0$のとき、実効的なポテンシャル$V(r)$のグラフを描くと、極値を持たず、$\lim_{r \to +0} V(r) = \infty, \ \ \lim_{r \to \infty} V(r) = +0$となるような形になる。したがって、$E>0$のとき、$V(r)$との交点の$r$座標を
\[ r_{\mathrm{min}} = \frac{-k+\sqrt{k^2+2h^2E}}{2E} \]とおくと、粒子が$r \to \infty$から原点に運動量$-\sqrt{2E}$で近づき、少しずつ減速しながら、点$r_{\mathrm{min}}$で運動量はゼロとなり、その後の運動は原点から遠ざかる方向に少しずつ加速しながら$r \to \infty$で運動量$\sqrt{2E}$となる。
また、$E \leq 0$をみたすような軌道は存在しない。
つまり、$k<0$のとき、周期軌道は存在しない。

投稿者:goodbook 投稿日時:2020-11-06 05:13:24