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ストロガッツ非線形ダイナミクスとカオス の読書会ページ

ストロガッツ非線形ダイナミクスとカオス(9784621085806)

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ストロガッツ非線形ダイナミクスとカオス

著者:スティーヴン・H.ストロガッツ/田中久陽

出版社:丸善出版 (2015年01月30日頃)

ISBN-10:4621085808

ISBN-13:9784621085806

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P.209の問題番号「6.6.6」への解答

系$\dot{x} = y- y^3, \ \ \dot{y} = -x - y^2$
(a) この系のヌルクラインは$y=0, \ \ y=\pm 1, \ \ x = -y^2$。添付図の青線。

(b) i) $x<-y^2$で
①$y>1$の領域では、$\dot{x}<0, \ \ \dot{y} >0$。
②$0<y<1$の領域では、$\dot{x}>0, \ \ \dot{y} >0$。
③$-1<y<0$の領域では、$\dot{x}<0, \ \ \dot{y} >0$。
④$y<-1$の領域では、$\dot{x}>0, \ \ \dot{y} >0$。
ii) $x>-y^2$で
①$y>1$の領域では、$\dot{x}<0, \ \ \dot{y} <0$。
②$0<y<1$の領域では、$\dot{x}>0, \ \ \dot{y} <0$。
③$-1<y<0$の領域では、$\dot{x}<0, \ \ \dot{y} <0$。
④$y<-1$の領域では、$\dot{x}>0, \ \ \dot{y} <0$。

(c) 固定点$(-1,1)$におけるヤコビ行列は
\[ A = \begin{pmatrix} 0 & -2 \\ -1 & -2 \end{pmatrix} \] $\tau = -2 <0, \ \ \Delta = -2 <0$となるので、サドル点。固有値、固有ベクトルは
\[ \lambda = -1 + \sqrt{3} \ \ \to \ \ \begin{pmatrix} 2 \\ 1 - \sqrt{3} \end{pmatrix}, \\
\lambda = -1 - \sqrt{3} \ \ \to \ \ \begin{pmatrix} 2 \\ 1 + \sqrt{3} \end{pmatrix} \]となる。
一方、固定点$(-1,-1)$におけるヤコビ行列は
\[ A = \begin{pmatrix} 0 & -2 \\ -1 & 2 \end{pmatrix} \] $\tau = 2 >0, \ \ \Delta = -2 <0$となるので、サドル点。固有値、固有ベクトルは
\[ \lambda = 1 + \sqrt{3} \ \ \to \ \ \begin{pmatrix} 2 \\ -1 - \sqrt{3} \end{pmatrix}, \\
\lambda = 1 - \sqrt{3} \ \ \to \ \ \begin{pmatrix} 2 \\ -1 + \sqrt{3} \end{pmatrix} \]となる。

解答者:goodbook 解答日時:2020-12-02 05:38:47

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問題解答へのコメント

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(d) $(-1,-1)$にあるサドルの不安定多様体を考える。この多様体は、線形化によって得られる不安定な固有方向のベクトルが$(-2,1+\sqrt{3})$だから、これに沿って$(-1,-1)$から去る。ゆえに、不安定多様体の一部は、$(-1,-1)$の近くでは、$x<-y^2, \ \ -1<y<0$の領域にある。したがって、$(-1,-1)$から$(-2,1+\sqrt{3})$の向きにわずかにずれた点から出発した不安定多様体に沿って動く座標$(x(t),y(t))$をもつ点を考えると、$\dot{x}=y-y^3<0$なので、$x(t)$は減少しなくてはならない。また$\dot{y}=-x-y^2>0$なので、$y(t)$は増加する。よって、点は左上の方向に動く。垂直方向の速度は連続的に増加するので、いずれ点は$x$軸をまたぐはずである。また、その間、常に$\dot{x}<0$となるので、$(-1,-1)$付近から出発したことを考えると、$x$軸の負の部分と交差することがわかる。
可逆性により、$x$軸の下側にある軌道は、$x$軸の上側に矢印が反転した双子の軌道をもつはずであるので、この2つの軌道は全体としてヘテロクリニック軌道を形成する。

(e) $(-1,1)$にあるサドルの不安定多様体を考える。この多様体は、線形化によって得られる不安定な固有方向のベクトルが$(2,1-\sqrt{3})$だから、これに沿って$(-1,1)$から去る。ゆえに、不安定多様体の一部は、$(-1,1)$の近くでは、$x>-y^2, \ \ 0<y<1$の領域にある。したがって、$(-1,1)$から$(2,1-\sqrt{3})$の向きにわずかにずれた点から出発した不安定多様体に沿って動く座標$(x(t),y(t))$をもつ点を考えると、$\dot{x}=y-y^3>0$なので、$x(t)$は増加しなくてはならない。また$\dot{y}=-x-y^2<0$なので、$y(t)$は減少する。よって、点は右下の方向に動く。垂直方向の速度は連続的に増加するので、いずれ点は$x$軸をまたぐはずである。
また、可逆性により、$x$軸の上側にある軌道は、$x$軸の下側に矢印が反転した双子の軌道をもつはずであるので、この2つの軌道は全体としてヘテロクリニック軌道を形成する。

投稿者:goodbook 投稿日時:2020-12-02 05:43:55