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NO. 00190161 DATE 2024 05 16

ストロガッツ非線形ダイナミクスとカオス の読書会ページ

ストロガッツ非線形ダイナミクスとカオス(9784621085806)

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ストロガッツ非線形ダイナミクスとカオス

著者:スティーヴン・H.ストロガッツ/田中久陽

出版社:丸善出版 (2015年01月30日頃)

ISBN-10:4621085808

ISBN-13:9784621085806

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P.252の問題番号「7.1.8」への解答

系$\ddot{x} + a \dot{x} (x^2 + \dot{x}^2 - 1) + x = 0, \ \ a>0$
(a) この系をベクトル場として
$\dot{x} = y, \ \ \dot{y} = -a y (x^2+y^2-1)-x$
と表せる。この系の固定点は$(0,0)$。また、ヤコビ行列は
\[ A = \begin{pmatrix} 0 & 1 \\ -1 & a \end{pmatrix}, \ \ \tau=a, \ \ \Delta=1, \ \ \tau^2-4 \Delta = a^2 - 4 \]となる。したがって
i) $0<a<2$のとき、原点は不安定スパイラルとなる。
ii) $a=2$のとき、原点は縮退した不安定ノードとなる。
iii) $a>2$のとき、原点は不安定ノードとなる。

(b) $x=r \cos \theta, \ \ y =r \sin \theta$とおいて、この系を極座標で表すと、
$\dot{r} = -a r (r^2 -1 )\sin^2 \theta, \ \ \dot{\theta} = -a (r^2-1) \sin \theta \cos \theta -1$
となる。動径方向のダイナミクスを直線上のベクトル場として取り扱うと、$\theta=n \pi$ ($n$は整数)のときを除けば、$r^*=0$は不安定固定点、$r^*=1$は安定固定点となる。このとき、$r^*=1$の円上では、$\dot{r}=0, \ \ \dot{\theta} = -1$が成り立ち、これは$\theta=n \pi$でも成り立つ。
つまり、この系は振幅$1$、周期$2\pi$の円形のリミットサイクルをもつ。

(c) (b)より、$r^*=1$は安定固定点であるので、リミットサイクルは安定である。

(d) 非線形な減衰項$a \dot{x}(x^2+\dot{x}^2-1)$は、$x^2+\dot{x}^2>1$で通常の正の減衰として働くが、$x^2+\dot{x}^2<1$では負の減衰となる。つまり、この項は大きな振幅の振動を減衰させるが、振幅が小さくなりすぎると、これを再び大きくなるように働き、原点を除くすべての軌道は、結局、振幅$1$の円形リミットサイクルにおちついていく。
したがって、他のリミットサイクルはない。

解答者:goodbook 解答日時:2021-01-16 12:19:14

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