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NO. 00191239 DATE 2024 05 19

ストロガッツ非線形ダイナミクスとカオス : 数学的基礎から物理・生物・化学・工学への応用まで の読書会ページ

ストロガッツ非線形ダイナミクスとカオス : 数学的基礎から物理・生物・化学・工学への応用まで(9784621085806)

ストロガッツ非線形ダイナミクスとカオス : 数学的基礎から物理・生物・化学・工学への応用まで

著者:Strogatz,StevenHenry,1959- 田中,久陽 中尾,裕也 千葉,逸人,1982-

出版社:丸善出版 (201501)

ISBN-10:4621085808

ISBN-13:9784621085806

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P.255の問題番号「7.3.5」への解答

系$\dot{x}=-x-y+x(x^2+2y^2), \ \ \dot{y} = x-y+y(x^2 + 2 y^2)$
この系は原点に固定点を持つ。原点でのヤコビ行列は
\[ A = \begin{pmatrix} -1+3x^2+2y^2 & -1 +4xy\\ 1+2xy & -1 + x^2+6y^2 \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} -1 & -1 \\ 1 & -1 \end{pmatrix}, \ \ \tau=-2, \ \ \Delta =2, \ \ \tau^2 -4 \Delta = -4 \]となるので、安定スパイラルとなる。
ここで、この系を時間反転($t \to -t$)した系
$\dot{x}=x+y-x(x^2+2y^2), \ \ \dot{y} = -x+y-y(x^2 + 2 y^2)$
を考える。この場合、原点は不安定スパイラルとなる。
次に、時間反転した系を極座標で表すと、
\[ \dot{r} = r - \frac{r^3}{2} (3+\cos 2 \theta), \ \ \dot{\theta} = -1 \]となる。
原点を中心とする円で、その上ですべての軌道が動径方向に外向きの成分をもつためには、任意の$\theta$について$\dot{r}>0$、すなわち、
\[ r^2 < \frac{2}{3+\cos 2 \theta} \]となる$r$を選べばよい。$1/2 \leq 2/(3+\cos 2 \theta ) \leq 1$であるので、これを満たす最大半径は
\[ r_1 = \frac{1}{\sqrt{2}} \]となる。一方、原点を中心とする円で、その上ですべての軌道が動径方向に内向きの成分をもつためには、任意の$\theta$について$\dot{r}<0$、すなわち、
\[ r^2 > \frac{2}{3+\cos 2 \theta} \]となる$r$を選べばよい。$1/2 \leq 2/(3+\cos 2 \theta ) \leq 1$であるので、これを満たす最小半径は
\[ r_2 = 1 \]となる。
したがって、時間反転した系とトラッピング領域$r_1 \leq r \leq r_2$はポアンカレ-ベンディクソンの定理の仮定を満たすので、このトラッピング領域に周期解を持つことがわかる。最後に周期解は時間反転しても周期解となるので、元の系にも少なくとも1つは周期解を持つことがわかる。

解答者:goodbook 解答日時:2021-02-03 05:37:17

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