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NO. 00190943 DATE 2024 05 17

ストロガッツ非線形ダイナミクスとカオス の読書会ページ

ストロガッツ非線形ダイナミクスとカオス(9784621085806)

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ストロガッツ非線形ダイナミクスとカオス

著者:スティーヴン・H.ストロガッツ/田中久陽

出版社:丸善出版 (2015年01月30日頃)

ISBN-10:4621085808

ISBN-13:9784621085806

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P.257の問題番号「7.5.2」への解答

ファン・デル・ポール方程式$\dot{x}=y, \ \ \dot{y}=-x-\mu (x^2-1) y$

初期位置としてヌルクライン$y=\frac{x}{\mu( 1-x^2 )}$にそれほど近接していない第1象限にあり、$x^2-1 \sim \mathcal{O}(1)$となる点を考えると、$|\dot{x}| \sim \mathcal{O}(1)$で、$|\dot{y}| \sim \mathcal{O}(\mu) \gg 1$となる。したがって、ベクトル場の流れの速度は水平方向に比べて垂直方向が大きくなり、軌道はほとんど垂直方向下向き($\dot{y}<0$)に動く。やがて軌道はヌルクライン$y=\frac{x}{\mu( 1-x^2 )}, \ x>1$にきわめて近接し、$y \sim \mathcal{O}(\mu^{-1})$となる。つまり、$\dot{x} \sim \mathcal{O}(\mu^{-1})$、$\dot{y}\sim 0$となる。このとき、軌道はヌルクラインの近傍(Aのあたり)に沿ってゆっくりと移動する。その後、$|y|$の値は少しずつ大きくなり、$\dot{x} =y \sim \mathcal{O}(1)$になると、軌道はヌルクラインから離れていき、$|\dot{y}| \sim \mathcal{O}(\mu) \gg 1$で点Bのあたりまでほとんど垂直方向に素早く移動する。点Bの近傍では$x^2-1 \sim \mathcal{O}(\mu^{-1})$となるので、$|\dot{x}| \sim \mathcal{O}(1)$、$|\dot{y}| \sim \mathcal{O}(1)$で進むが、やがて$x^2-1 \sim \mathcal{O}(1)$となり、$|\dot{x}| \sim \mathcal{O}(1)$、$|\dot{y}| \sim \mathcal{O}(\mu) \gg 1$となるので、軌道はほとんど垂直方向上向き($\dot{y}>0$)に動き、やがてヌルクライン$y=\frac{x}{\mu( 1-x^2 )}, \ x<-1$にきわめて近接することになる。このとき、$\dot{x}=y \sim \mathcal{O}(\mu^{-1})$、$\dot{y} \sim 0$となり、軌道はヌルクラインの近傍(Cのあたり)に沿ってゆっくりと移動する。その後は$|y|$の値が少しずつ大きくなり、$\dot{x} \sim \mathcal{O}(1)$になると、軌道はヌルクラインから離れていき、点Dのあたりにほとんど垂直方向上向きに素早く移動し、ここを通過した後、今度は垂直方向下向き($\dot{y}<0$)に素早く動き、点A付近に戻る。以降はこの動きを繰り返す。

リエナール平面の利点としては、リミットサイクルの領域をある程度定量的に求めることができるため、リミットサイクルの周期などを見積もりやすい点などが挙げられる。

解答者:goodbook 解答日時:2021-02-16 06:29:47

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問題解答へのコメント

1

問題7.5.3で実際に自分でリエナール平面を描いてみてわかりました。略解にもあるとおり、リエナール平面では、リミットサイクルが$\mu \to \infty$で一定の形に収束すること、これが利点ですね。
やっぱり、自分でやってみないといけないなと改めて思いました。

投稿者:goodbook 投稿日時:2021-02-17 05:26:57