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ストロガッツ非線形ダイナミクスとカオス の読書会ページ

ストロガッツ非線形ダイナミクスとカオス(9784621085806)

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ストロガッツ非線形ダイナミクスとカオス

著者:スティーヴン・H.ストロガッツ/田中久陽

出版社:丸善出版 (2015年01月30日頃)

ISBN-10:4621085808

ISBN-13:9784621085806

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P.321の問題番号「8.6.4」への解答

系$\dot{\theta}_1=E-\sin \theta_1+K \sin(\theta_2-\theta_1), \ \ \dot{\theta}_2=E+\sin \theta_2+K \sin(\theta_1-\theta_2), \ \ E,K \geq 0$
(a) この系のヌルクラインは
\[ E-\sin \theta_1+K \sin(\theta_2-\theta_1)=0, \ \ E+\sin \theta_2+K \sin(\theta_1-\theta_2)=0 \]である。これらの式は以下のように変形できる。
\[ \begin{align}
& E-\cos \frac{\theta_1+\theta_2}{2} \sin \frac{\theta_1-\theta_2}{2}=0 \tag{1} \\
& \left( \sin \frac{\theta_1+\theta_2}{2} + 2K \sin \frac{\theta_1-\theta_2}{2} \right) \cos \frac{\theta_1-\theta_2}{2}=0 \tag{2}
\end{align} \]が得られる。$(2)$式は以下のように分解しておく。
\[ \begin{align}
& \sin \frac{\theta_1+\theta_2}{2} + 2K \sin \frac{\theta_1-\theta_2}{2}=0 \tag{2-1} \\
& \cos \frac{\theta_1-\theta_2}{2}=0 \tag{2-2}
\end{align} \]これらの式を使って固定点を分類する。
i)$E>1$のとき、固定点は存在しない。
ii)$E<1$のとき、$(1)$式と$(2$-$2)$式から2つの固定点
\[(\sin^{-1}E, \pi+\sin^{-1}E), \ \ (\pi-\sin^{-1}E,2\pi-\sin^{-1}E) \]が存在する。
iii)$E<1/\sqrt{2}, \ \ 4KE<1$および$1/\sqrt{2}<E<1, \ \ E^2+4K^2<1$のとき、$(1)$式と$(2$-$1)$式から
\[ \alpha=\sin^{-1}(4KE), \ \ \beta_-=\sin^{-1}\left[\frac{1}{2K} \sqrt{ \frac{1-\sqrt{1-16K^2E^2}}{2} } \right] \]とおいて、2つの固定点
\[ \left(-\frac{\alpha}{2}+\beta_-,2\pi-\frac{\alpha}{2}-\beta_- \right), \left(\pi-\frac{\alpha}{2}-\beta_-,\pi-\frac{\alpha}{2}+\beta_- \right) \]が存在する。
iv)$E<1/\sqrt{2}, \ \ 4KE<1, \ \ E^2+4K^2>1$のとき、$(1)$式と$(2$-$1)$式から
\[ \beta_+=\sin^{-1}\left[\frac{1}{2K} \sqrt{ \frac{1+\sqrt{1-16K^2E^2}}{2} } \right] \]とおいて、2つの固定点
\[ \left(-\frac{\pi}{2}+\frac{\alpha}{2}+\beta_+,\frac{3}{2}\pi+\frac{\alpha}{2}-\beta_+ \right), \left(\frac{\pi}{2}+\frac{\alpha}{2}-\beta_+,\frac{\pi}{2}+\frac{\alpha}{2}+\beta_+ \right) \]が存在する。
以上のことから、
①$E>1$の領域では、固定点なし。
②$E<1/\sqrt{2}, \ \ 4KE<1$および$1/\sqrt{2}<E<1, \ \ E^2+4K^2<1$の領域では、2つの固定点(1つのサドルと1つの不安定ノード)をもつ。
③$E^2+4K^2<1$の領域では、4つの固定点(2つのサドル、1つの安定ノード、1つの不安定ノード)をもつ。
④$E<1/\sqrt{2}, \ \ 4KE<1, \ \ E^2+4K^2>1$の領域では、6つの固定点(3つのサドル、2つの安定ノード、1つの不安定ノード)をもつ。

解答者:goodbook 解答日時:2021-06-16 06:21:12

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問題解答へのコメント

1

(b)(a)で示したように、$E>1$のとき、固定点は存在しない。一方、位相差$\theta_1-\theta_2$に関しては
\[ \dot{\theta}_1-\dot{\theta}_2=2\left( \sin \frac{\theta_1+\theta_2}{2} + 2K \sin \frac{\theta_1-\theta_2}{2} \right) \cos \frac{\theta_1-\theta_2}{2} \]であるので、$\theta_1-\theta_2=\pi$では$\dot{\theta}_1-\dot{\theta}_2=0$となることがわかる。つまり、一定の位相差$\pi$だけ隔てられた位相ロック解をもつ。したがって、$E>1$のとき、系はトーラス上に周期解を持つことがわかる。また、これらの周期解は$E=1$で無限周期分岐により生成される。

(c)$(E,K)$平面における分岐曲線を添付図のように示す。
領域①と②の間では無限周期分岐が起こる。
領域②と③の間では亜臨界ピッチフォーク分岐が起こる。
領域③と④の間では超臨界ピッチフォーク分岐が起こる。
領域②と④の間では2つのサドルノード分岐が起こる。

投稿者:goodbook 投稿日時:2021-06-16 06:24:24