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書く、読む、生きる の読書会ページ

書く、読む、生きる(9784794224798)

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書く、読む、生きる

著者:古井 由吉

出版社:草思社 (2020年11月26日頃)

ISBN-10:4794224796

ISBN-13:9784794224798

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気になるフレーズの投稿一覧

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P.14 の気になるフレーズ

忙しい人間にも自分を省みる時間は当然ありますね。暇もなく働き回っている人間の底に、意外と、孤独でやるせない、身の置き所のない何かがあるのです。物を書く人間が自分の閑居の中で苦闘して、一般にも通じる孤独感を絞り出せば、読んでああこういうことかと、それなりに思う人もある。自分の内にもこういう身の置き所のなさがあると感じて、やや得心する。それがぎりぎりの、物を書く人間の世の中に対する働き、あるいは責務なのではかいか。

総コメント数:1 投稿日時:2021-01-19 06:55:51

P.19 の気になるフレーズ

どんな行き方であれ、作品の出発点と着地点の間のどこかで境を越える。それが小説だ、と私は思っている。境を越えるというのは、差違を渡った、その跡を記す、ということになるでしょうか。

総コメント数:1 投稿日時:2021-01-20 05:26:16

P.34 の気になるフレーズ

こんなノイローゼがあるんだそうですね。会議なんかで話しているうちに、自分の言っていることが自分でピンとこなくなる。それで、絶句、立往生してしまえば悲惨ですけれど、ドクターストップは入るでしょう。ところが、自分で自分の声を聞いていると、変なことも、間違ったようなことも言ってない。ただ、なにか遠く感じられる。それで、せめて最後まで、いちおう辻褄のあったことを話して、一所懸命に走って、ようやく終わる。終わったあと、やっぱり自分はなにかズレたことを話してたんじゃないかと思う。そんなときにかぎってね、人にポンと肩たたかれて、「やあやあ、今日、君が言ったことは正しかったよ」なんて言われて。

総コメント数:1 投稿日時:2021-01-22 06:40:41

P.37 の気になるフレーズ

ところが、なにぶんわれわれは、まわりが騒々しすぎる。それに劣らず、内面も騒々しい。で、その感受がね、短くなっちゃった。長く感じる、感受したものを保持する力が、薄くなった。かといって、考える思考のほうが強靭になったかって、そうでもないから、そこでずいぶん半端なことになってる。どれだけ粘り強く感受しつづけるか、そこからひとつの思考がおのずから生まれてくる。言葉ってのは、この部分での戦いがあるわけですよね。人にどう感受させるか、読むほうとしてもどう感受するか。もちろん、どう考えるかの戦いもある。さしあたっては、まず感受を取りもどす、受信の器として強くなることが、書く側も読む側も、大切なんではないだろうか、そんなふうに思っております。

総コメント数:1 投稿日時:2021-01-22 06:54:59

P.41 の気になるフレーズ

近代語ならば、知らない言葉でも、じっと読んでいればだいたいの意味はとれます。しかし古典語だと、調子のいい時も稀にありますが、大抵、初見じゃ何一つ分からないですよ。そこで、すぐ辞書を引いたら駄目なんです。じっと眺めていると、忘れた言葉をだんだん思い出して、構造が自然に浮かび上がってくる。記号のなかから、言葉が湧き起こってくる感じですよ。

総コメント数:1 投稿日時:2021-01-24 07:52:28

P.62 の気になるフレーズ

そして用も済んだので本を書棚へ返そうとして、作品の冒頭に気を惹かれて、数行読み出したのが、運の尽きだった。長い小説を最後まで読むことになりました。ただし半年もかかって。

総コメント数:1 投稿日時:2021-01-26 06:30:37

P.77 の気になるフレーズ

夜は相変わらず本を読んでおります。なにが関心かといえば、自分に付いて、しかもどう自分から離れるか、であります。

総コメント数:3 投稿日時:2021-01-28 06:37:59

P.93 の気になるフレーズ

本当言うと「私が私のことを語る」ほど、難しいことはないんです。これほど嘘の伴うこともない。これはもう、虚構の極致です。

総コメント数:1 投稿日時:2021-02-02 06:14:20

P.108 の気になるフレーズ

ところがどうも現代では、若い人たちも耳が悪くなってきている。身体的な話ではありません。そうではなくて、今の若い人たちは他人の言葉を耳で聞いてつかむことが下手になっているような気がするんです。

総コメント数:1 投稿日時:2021-02-15 05:19:23

P.113 の気になるフレーズ

さっきもお話したように、今の世界に生きていて苦しい点は、人がくつろいで話したり聞いたりできる場所が驚くほど少ないということなんです。たとえば、皆さんが恋愛をして、ふたりでちょっと込み入った話をじっくりしたいと思ったって、そういうことができる場所があまりない。今の若い人たちは、せわしない周囲に合わせて話すスピードが自然と早くなってしまう。本人たちは込み入った話をしているつもりでも、会話が切れぎれになり、走ったりする。だから、言葉がじわっと沁み込んでいかない。お互いの理解をじっくり深める事にはなかなかなりにくいという面がある。

総コメント数:1 投稿日時:2021-02-15 05:45:22

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